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かたら餅(かしわ餅)

(柏 もち)

サルトリイバラの葉を使用した出雲の柏餅

毎年5月5日の端午の節句の供え物として用いられることで全国的にもよく知られる柏餅。四国地方などの近畿圏以西では柏の木が自生しておらず、出雲地方では柏の葉の代わりに、地元で「かたら」という別称を持つ“サルトリイバラ”の葉で餅を巻いて柏餅を作った。それがこの“かたら餅”だ。“サルトリイバラ”は、「猿でも捕れるイバラ」という意味から、その名前が与えられたと言われている。つるっとした葉で餅を包むことからべたつきも少なく、かすかに香る葉のにおいも食欲をそそる。

島根県全域では、端午の節句になると「かしわ餅」が作られ、子どもたちのおやつとして親しまれています。ただし、島根県にはかしわの葉が自生していないため、代わりにサルトリイバラの葉を使用した「かしわ餅」が地元で根付いています。

「かしわ餅」は呼び名が地域によって異なり、東部では「かたらもち」、大田を含む西部では「まき」、隠岐では「かたりまんじ」と呼ばれています。サルトリイバラの葉も「かたらの葉」や「まきの葉」、「かたりの葉」といった様々な呼び名が存在しています。サルトリイバラはトゲのある木質のツル植物で、「猿取り茨」という名前はトゲに引っかかるとサルでも身動きが取れないという意味からついたものです。

この「かしわ餅」は端午の節句に男の子の誕生を祝い、健やかな成長を願って作られます。通常は5月5日に行われますが、地域によっては田植えの時期と重なり、1カ月遅れの6月5日に行われることもあります。節句以外にも、「泥落とし」と呼ばれる田植えの後の労をねぎらう行事が行われ、その際にも作られます。甘い小豆あんが入った「かしわ餅」は、農作業で疲れた体を癒すごちそうとされています。

「かしわ餅」の作り方は、もち米とうるち米の粉を水でこね、団子状にしてサルトリイバラの葉で巻いて蒸すというものです。餅の中には甘いあんが入り、小豆やソラマメがあんの原料として使われます。サルトリイバラの葉から漂う良い香りが食欲をそそります。葉の表面がツルツルしているため、葉に油をたらしたり片栗粉をまぶすと、餅がはがれやすくなります。餅が固くなっても、ゆで直すと再び柔らかくなるので、小腹が空いたときの間食や子どものおやつに最適です。

主な伝承地域:県内全域
主な使用食材:サルトリイバラの葉、もち米、うるち米など

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名称
かたら餅(かしわ餅)
(柏 もち)

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