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清水羊羹

(きよみず ようかん)

安来を代表する伝統銘菓

清水羊羹は、島根県安来市を代表する和菓子であり、古くから山陰地方の名物として親しまれてきた伝統的な土産菓子です。特に安来市にある天台宗の古刹清水寺の門前で作られてきた歴史を持ち、参拝客のお土産として広く知られています。

清水羊羹は、小豆・砂糖・寒天というシンプルな材料のみで作られる素朴な菓子であり、素材本来の風味を生かした優しい甘さが特徴です。また、竹の皮で包まれる独特の包装も伝統のひとつで、香り豊かな風味を楽しめることから多くの人に愛されています。現在でも清水寺を訪れた参拝者が必ずといってよいほど手に取る、安来の定番土産となっています。

清水羊羹の歴史と由来

清水羊羹の歴史は非常に古く、その起源は平安時代にまでさかのぼるといわれています。838年、最後の遣唐使の一人として唐に渡った天台宗の僧円仁(慈覚大師)が、847年に帰国の途中で清水寺に立ち寄りました。その際、中国で食べられていた「羊の肝を用いた羹(あつもの)」の料理について語ったことが、羊羹の原型になったと伝えられています。

当時の日本では仏教の影響により肉食が禁じられていたため、僧侶たちは肉の代わりに小豆や穀物を使って料理を再現しました。こうして精進料理として作られた料理が、時代の流れの中で菓子へと変化し、鎌倉時代末期には清水寺から製法が門前の菓子職人に伝えられたとされています。

その後、清水寺の参拝客に提供される菓子として広まり、江戸時代から明治時代にかけて安来の名物として定着しました。現在でも清水寺の境内や門前町には複数の製造店があり、それぞれが伝統の味を守りながら清水羊羹を作り続けています。

素朴な味わいを生み出す伝統製法

清水羊羹の最大の特徴は、余計な添加物を使用しない昔ながらの製法にあります。基本となる材料は、小豆・砂糖・寒天という非常にシンプルなものです。これらを丁寧に煮詰め、丹念に練り上げることで、柔らかくなめらかな食感と深い小豆の風味が生まれます。

また、清水羊羹は一般的な羊羹よりもやや柔らかく、口当たりが滑らかなのが特徴です。竹の皮で包む伝統的な包装方法も特徴的で、ほんのりとした自然の香りが羊羹に移り、独特の風味を生み出しています。

その素朴な味わいは、古くから茶席でも好まれてきました。鎌倉時代以降に茶の湯文化が広まると、清水羊羹は茶菓子としても重宝され、現在でも和菓子として高く評価されています。

羊羹の歴史と寒天の発見

羊羹という菓子の歴史は、中国から伝わった料理に由来するとされています。もともと中国では羊の肉を使った吸い物を「羹(あつもの)」と呼び、日本へ伝わりました。これが仏教文化の中で肉を使わない精進料理へと変化し、小豆や豆類を用いた料理へと姿を変えました。

やがて鎌倉時代から室町時代にかけて茶の湯が発展すると、この料理は菓子へと変化していきます。当初は蒸して作る「蒸し羊羹」でしたが、江戸時代後期に寒天が発見されたことで現在のような羊羹の形が生まれました。

寒天は、ところてんが凍結と乾燥を繰り返すことで生まれた食品で、透明で保存性が高いことから菓子作りに適していました。寒天を使用することで羊羹は保存性が向上し、現在のような形の和菓子として広く普及していきました。

清水羊羹を作り続ける老舗

深田豊隆堂

安来市清水町にある老舗和菓子店で、清水羊羹を代表する製造元のひとつです。創業当時から小豆・砂糖・寒天のみを原料に使用し、無添加の手作りにこだわっています。野趣あふれる素朴な姿と香り高い小豆の風味が特徴で、優しい甘さと柔らかな口当たりが多くの人に親しまれています。

黒田千年堂

鎌倉時代末期に清水寺から羊羹製法の極意を授かったと伝えられる老舗です。製餡から包装までを自社工場で一貫して行い、添加物を使わない安全で安心な和菓子作りを続けています。長い歴史を誇る清水羊羹の元祖の一つとして、地元でも高い評価を得ています。

遠藤瑞泉堂

江戸時代の天保5年に創業した老舗和菓子店で、清水寺の境内に店を構えています。しっとりとした甘さと上品な味わいが特徴で、贈答用の和菓子としても人気があります。近年では安来産のいちごを使用したいちご羊羹など、新しい商品も生み出しています。

西村堂

明治4年創業の和菓子店で、安来を代表する清水羊羹の製造店のひとつです。自家製の餡を丹念に練り上げ、小豆の味を最大限に引き出すため甘さを控えめに仕上げています。原材料は小豆・寒天・砂糖のみというシンプルな構成で、昔ながらの素朴な味わいが人気です。

新しい楽しみ方「清水羊羹アイス」

近年では、清水羊羹をアレンジしたスイーツも登場しています。安来のご当地スイーツとして人気の清水羊羹アイスクリームは、ペースト状の羊羹だけでなく、サイコロ状にカットした羊羹を混ぜ込んだアイスです。

滑らかなアイスクリームの中に羊羹の食感がアクセントとして加わり、和菓子と洋菓子の魅力を同時に楽しめる一品となっています。現在は安来駅に隣接する観光交流施設などで販売され、観光客にも人気を集めています。

清水寺参拝とともに楽しむ名物菓子

清水羊羹は、安来市にある名刹清水寺の参拝と深く結びついた和菓子です。清水寺は587年に創建されたと伝わる天台宗の古刹で、厄除け観音として多くの信仰を集めています。境内には羊羹店や食事処、旅館などが並び、参拝とともに精進料理や和菓子を楽しむ文化が育まれてきました。

春は桜、初夏はツツジ、秋は紅葉、冬は雪景色と四季折々の美しい景観が広がる境内を散策しながら、名物の清水羊羹を味わう時間は、安来観光の大きな魅力のひとつです。

山陰を代表する伝統の味

清水羊羹は、1200年以上の歴史と文化を受け継ぐ和菓子として、現在も多くの人に愛されています。素材の味を大切にした素朴で優しい甘さは、どこか懐かしさを感じさせる味わいです。

清水寺参拝の記念として、また山陰の旅のお土産として、ぜひ味わっておきたい伝統の銘菓です。長い歴史の中で育まれてきた清水羊羹は、安来の文化と人々の思いを今に伝える大切な存在となっています。

Information

名称
清水羊羹
(きよみず ようかん)

松江・玉造温泉

島根県