島根県安来市にあるさぎの湯温泉 さぎの湯荘は、創業100年を超える歴史を持つ老舗温泉旅館です。豊かな自然に囲まれた静かな温泉郷に佇み、広大な庭園と源泉かけ流しの湯、そして山陰ならではの旬の味覚を楽しめる宿として、多くの旅人に親しまれています。
旅館の敷地は約2,000坪にも及び、庭園を囲むように二階建ての建物が配置されています。館内は民芸調の落ち着いた雰囲気で統一され、和の趣を大切にしながらも現代的な快適さを取り入れた空間となっています。窓の外には田園風景と山々が広がり、四季折々の自然の美しさを感じながら、ゆったりとした時間を過ごすことができます。
さぎの湯温泉は、神亀年間(724~729年)に発見されたと伝えられる歴史ある温泉です。その昔、白鷺が足の傷を湯で癒していたことから「鷺の湯」と呼ばれるようになったと伝承されています。
戦国時代には、月山富田城を本拠とした尼子氏の御殿湯として栄え、歴代藩主にも愛された名湯でした。しかし、1667年の大洪水によって温泉は埋没し、一時その存在は失われてしまいます。その後、明治42年(1909年)に現在の場所で再発見され、今日の温泉地として復興を遂げました。
現在では、毎分600リットルもの豊富な湯量を誇り、館内すべての湯処で源泉かけ流しの湯を楽しむことができます。泉質は含放射能ナトリウム・カルシウム-塩化物・硫酸塩泉で、無色透明のやわらかな湯ざわりが特徴です。
さぎの湯温泉は、古くから湯治場としても利用されてきました。泉温は45~54度ほどあり、湯に浸かると身体の芯までじんわりと温まり、湯上がり後もぽかぽかとした温かさが続きます。
効能としては、神経痛、筋肉痛、関節痛、冷え性、慢性婦人病、疲労回復などが知られており、美肌効果も期待できる温泉として人気があります。新陳代謝を促し、肌をしっとりとなめらかに整えてくれるため、「美肌の湯」として女性にも好評です。
館内には男女別の大浴場と露天風呂のほか、貸切風呂が2か所用意されています。露天風呂では、四季折々の自然を眺めながら、静かな時間を満喫できます。
特に人気なのが、一枚岩をくり抜いて造られた貸切露天風呂「岩露」です。自然石のやさしい肌触りと源泉かけ流しの湯が心地良く、まるで自然と一体になったような感覚を味わえます。もう一つの貸切風呂「白露」は、落ち着いた雰囲気の内湯で、ゆっくりとくつろぎたい方におすすめです。
露天風呂や大浴場は、チェックイン後から翌朝9時まで利用可能となっており、夕暮れ時や早朝など、好きな時間に温泉を楽しめるのも魅力です。
さぎの湯荘の客室は、それぞれ趣が異なり、和の落ち着きを感じられる空間となっています。本館の和室、新館の広々とした客室、和洋室タイプの特別室など、多彩な部屋が用意されています。
本館の客室は、昔ながらの温泉旅館らしい温もりある和室です。新館の客室は、庭園に面した開放感ある造りとなっており、広縁から四季折々の景色を楽しめます。
木材や和紙、布など自然素材を活かしたインテリアと、やわらかな照明が調和し、心からくつろげる空間を演出しています。
特別な滞在を楽しみたい方には、離れの客室「田の蔵」「野の蔵」がおすすめです。蔵を移築して造られたメゾネットタイプの客室で、1階には露天風呂と足湯、2階には洋室が設けられています。
広々とした濡れ縁から庭園を眺めながら、源泉かけ流しの露天風呂を独り占めできる贅沢な時間は、まさに至福のひとときです。
チェックイン後に案内されるラウンジでは、美しい庭園を眺めながらゆっくりと過ごすことができます。館内にはジャズが静かに流れ、本棚には旅や文化に関する書籍も並べられています。
朝には庭を眺めながらコーヒーを味わうことができ、忙しい日常を忘れさせてくれる穏やかな時間が流れています。
料理は、地元山陰の旬の食材をふんだんに使った会席料理が中心です。日本海の新鮮な魚介類、島根和牛、地元野菜などを使用し、一品一品丁寧に仕上げられています。
安来市は民謡「安来節」とどじょうすくい踊りで有名な地域であり、どじょう料理も伝統の味として受け継がれています。
柳川鍋、唐揚げ、汁物など、さまざまな調理法で楽しむことができ、ここでしか味わえない郷土料理として人気があります。
冬季には、カニ鍋やぼたん鍋、鴨鍋など、山陰の冬の味覚を堪能できる料理も提供されています。寒い季節に温泉と鍋料理を楽しむ時間は格別です。
さぎの湯荘の大きな魅力の一つが、世界的に有名な足立美術館まで徒歩約30秒という立地です。
足立美術館は、日本庭園の美しさで世界的な評価を受けている美術館で、横山大観をはじめとする近代日本画の名作を多数所蔵しています。13,000坪にも及ぶ日本庭園は、四季によって異なる表情を見せ、訪れる人々を魅了しています。
美術館をゆっくり鑑賞した後、さぎの湯荘で温泉に浸かり、地元の料理を味わうという贅沢な過ごし方ができるのは、この宿ならではの魅力です。
さぎの湯荘は、出雲大社、松江城、月山富田城跡、清水寺など、山陰を代表する観光地へのアクセスも良好です。静かな温泉地にありながら、観光の拠点として便利な立地であるため、島根旅行の宿泊先としても人気があります。
また、近くには「安来節演芸館」もあり、本場の安来節やどじょうすくい踊りを楽しむことができます。山陰の伝統文化や歴史に触れながら、ゆったりとした旅を満喫できるでしょう。
さぎの湯荘は、豪華さを前面に出した宿ではありません。しかし、自然、温泉、料理、庭園、客室、そしてスタッフのさりげないおもてなしが調和し、訪れる人の心をやさしく癒してくれる宿です。
派手さはなくとも、静かな贅沢と日本らしい美意識が息づく空間。時間に追われる日常を離れ、心身をゆっくりと休めたい方にふさわしい、山陰を代表する名湯宿のひとつです。