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八重垣神社

(やえがき じんじゃ)

出雲を代表する縁結びの聖地

八重垣神社は、島根県松江市に鎮座する、出雲神話ゆかりの由緒ある神社です。旧称は佐久佐神社(さくさじんじゃ)といい、式内社(論社)として古くから信仰を集めてきました。意宇六社の一社に数えられ、出雲國神仏霊場第十四番札所でもあります。

素盞嗚尊(すさのおのみこと)と櫛稲田姫(くしいなだひめ)の神話に基づき、縁結びの大親神として全国的に知られ、恋愛成就・夫婦円満・良縁成就を願う多くの参拝者が訪れています。

神話に彩られた縁結びの由緒

八重垣神社の起源は、日本神話「八岐大蛇(やまたのおろち)退治」に深く結びついています。高天原から出雲の地に降り立った素盞嗚尊は、八岐大蛇に苦しめられていた老夫婦と櫛稲田姫を救い、大蛇を退治しました。

その後、素盞嗚尊は稲田姫を守るため、この地に八重の垣を巡らせ、仮の御殿を造ったと伝えられています。その喜びを詠んだ和歌が、

「八雲立つ 出雲八重垣 妻込みに 八重垣造る その八重垣を」

という有名な御歌です。この歌に由来し、当地は「八重垣の宮」と呼ばれるようになり、出雲における縁結び信仰の原点とされてきました。

御祭神と信仰

八重垣神社の主祭神は、素盞嗚尊櫛稲田姫命の御二柱です。天つ神と地つ神が結ばれた神話は、男女の縁のみならず、人と人とのあらゆるご縁を結ぶ象徴とされています。

また、大己貴命(大国主命)や青幡佐久佐日古命も配祀され、家庭円満、子孫繁栄、災難除けなど、幅広い御神徳が信仰されています。

鏡の池 ― 全国屈指の縁占いスポット

境内奥の「佐久佐女の森」にひっそりと佇む鏡の池は、八重垣神社最大の見どころです。稲田姫が身を隠していた際、水面に自らの姿を映したと伝えられる神秘の池で、現在は縁占いの場として親しまれています。

占いの方法は、占い用紙に十円玉または百円玉を乗せて池に浮かべ、その沈むまでの時間と距離によって縁の早さや相手との距離を占うというものです。早く沈めば縁が早く、遠くで沈めば遠方の人とのご縁があると伝えられています。

池の中をイモリが横切ると大吉縁に恵まれるとも言われ、恋愛成就を願う参拝者の姿が絶えません。

境内の見どころと自然

境内には夫婦杉連理玉椿(夫婦椿)と呼ばれる縁結びの象徴が点在しています。特に連理玉椿は、二本の幹が途中で一本に結ばれた姿から、一心同体・愛の象徴として大切にされています。

また、社殿後方に鎮座する奥の院は、稲田姫が身を潜めていた神聖な場所とされ、静謐な空気に包まれています。この森を、文豪小泉八雲は「神秘の森」と称しました。

日本最古級の神社壁画

宝物収蔵庫には、重要文化財に指定されている板絵著色神像(本殿板壁画)が収められています。神社建築における障壁画としては日本最古級とされ、稲田姫を描いた壁画は、気品ある表情と鮮やかな彩色で高い評価を受けています。

祭事と年中行事

例祭は毎年10月20日に執り行われます。また、5月3日の身隠神事では、本殿から奥の院へ神輿が渡御し、この行列を見ると良縁に恵まれるという言い伝えがあります。

参拝案内と所要時間

八重垣神社は松江市中心部から南方の山沿いに位置し、自然に囲まれた静かな環境にあります。参拝と境内散策の所要時間はおよそ40分ほどで、観光の合間にも立ち寄りやすい神社です。

出雲の地に息づく神話と、現代に続く縁結び信仰を体感できる八重垣神社は、訪れる人の心に深い余韻を残す特別な場所といえるでしょう。

Information

名称
八重垣神社
(やえがき じんじゃ)

松江・玉造温泉

島根県